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interview五島秀一さんインタビュー

五島秀一(ごとうしゅういち)

物理学者、科学者、中小企業診断士

多様な個性の開花と、共生をモットーとする。

山口県岩国市生まれ、広島大学理学部数学研究科卒業。物理学者、科学者、中小企業診断士、経営コンサルタント、ヒーラー。超越気功協会会長、歴史波動研究会会長、高次元経営者協会会長、一般社団法人秀物理学研究所代表理事

科学、政治、経済学、宗教、スピリチュアルを網羅する人材育成のスペシャリスト Dr.Shu。また、その一方で、気功、ヨガ、中心流柔術についても探求し、各地にリーダーを輩出すべくセミナー活動にも力を入れている。被爆者である父の志を受け継ぎ、東日本大震災以前より、放射性物質除染技術の研究に取り組み、2015、2016年環境放射能除染学会にて発表。世界平和を願い、政財界、医学界等、各界のリーダーと太いパイプを持ち日々精力的に指揮をとっている。

著書:「浄一切洗心経」「幸せは心の宇宙から」「絶対の幸せをつかむ道」「超進化時代の開運法」「22を超えたαケンタウリとカタカムナの謎」

五島氏主宰、超越気功協会 https://www.choetsukiko.com/

2019年5月2日(更新日:2019年12月21日)

人生は一人一人ゴールがちがう

今回は、五島秀一さんにお願いいたします。

インタビューはこれから隔週で3回に渡って連載されます。

1回目は、五島さんのお考えになる共育とは、をお父様からの影響を絡めて語っていただいています。

—— 五島先生は科学・政治・経済・宗教・スピリチュアルを網羅する人材育成のスペシャリストとして多方面でご活躍されていらっしゃいますけれども、ご自身を紹介していただけますでしょうか?

五島:物心ついた時から空を眺めては、「宇宙に意志はあるのかなぁ。」と考えていて、人間に意識があるんであれば、元々宇宙には意識があるという素朴な信仰心がありました。でも、あんまり擬人化された神様は信じられない。やっぱり、人間の届かないところにあり、それでいて冷たいんじゃなくて温かい、自分の中でそういうのを形作っていたと言えます。

—— 宇宙意識でありながら温かい、そういうのをご自身の中で形作るということで、壮大さを感じずにはいられませんが、宇宙には意識があるという感覚はどこからでしょうか?

五島:隕石のようなものと遭遇したのがきっかけですね。何か正体はわからないですけど近くを通っていった。隣近所のおばさんたちも見ています。

—— 隕石が飛んできたのですか?

五島:よくわからない。あまり決めつけると科学的じゃなくなっちゃうんで。僕の場合何か起きても、十年くらいほったらかして、あまりこう決めつけないようにしてます。経験値の中でわかること、知識情報である時わかることがある。

—— 経験したことを寝かせておくということですか?

五島:寝かせておくというか、あくまでデータに過ぎないんです。

—— 先生は、見えない世界だったりいろんな次元で情報を取っていらっしゃると思いますが、情報を取る際に他にどんなことに気をつけていますか?

五島:見えない世界でもするけど、それがすべてとは思わない。もしかしたら違うかもしれない、という心のゆとりがないと、ハマっちゃうじゃないですか。ハマれないんですよ。すごく客観視する。父親の影響が大きいと思うね。父親は「自分で考えなさい」って言う人だった。法律が好きで、世の中を理解するには六法全書を読めなんて言って、変わってました。今ではそれも正しいなって思う。社会が決めたルールがあって、そこから大きく逸脱すると真理じゃないだろうと幼い頃から思ってました。

—— 先生へ大きな影響を与えられたお父様は一言で言うとどういった方でしたか?

五島:天才だろうと思うよ。囲碁将棋も油絵水彩画もプロ級で、英会話べらべら。よく遊びよく学べ、バランスが大事なんて言ってました。僕の生涯の最大のライバルですよ。

—— ライバルですか。

五島:いつか抜きたいなって思ってる。

—— 今はどんなですか?

五島:まだ抜けてませんね。はい。

—— 今回は共育者に聴くということでインタビューさせていただいていますが、先生にとって生涯の最大のライバルというお父様からの影響を絡めて共育について伺えますか?

五島:父親はゲーテが大好きなんです。それで僕まで一番影響を受けたのはゲーテです、ゲーテ。真理の探究者、ファウストを読めって言われた。あの作品は面白いですよ。知識欲に取り憑かれたファウストですが結局知識欲だけでは真理に到達しない。最後は魔術にはまっちゃうんですね、で身を滅ぼしていく。

—— 知識欲だけでなく、何が必要なのでしょうか?

五島:社会の為にっていう尺度ですかね。知識欲というのはエゴを助長させるんですよ。人生をどうやったら効率的に生きられるかっていう方向に行っちゃう。だからファウストは魔術の世界に逃げ込んだ。

あと、僕は環境には恵まれていましたね。お金はそんなに豊かではなかったけどもいつもクラシックを聴かされてました。生まれる前から胎内教育って言うクラシック。

—— 胎内にいる時からクラシック音楽を聴くことでどのような影響があるのですか?

五島:クラシックは、構成がはっきりしていて美しいです。それから主題となるテーマが繰り返し出てきますよね。で、潜在意識に焼き付くんです。

「ワシントン広場」とか、ベートーベンの交響曲1から9、「森の水車小屋」とか、ずーっと聴いてた。あれは有り難かった。また、天皇陛下が子どもに与えた本を僕も読まされた。皇族と同じような教育をしろってわけです(笑)。

—— クラシック音楽や良書から顕在意識だけでなく潜在意識への働きかけをされていたのですね。

五島:そうそう、結局全体のバランスですよね。クラシックというのは、僕の解釈だけど、一つの音楽が成長していき、目いっぱい成長していって、また元に戻るわけ。ということは自分を極めたら今度は社会の為になるっていうか、原点に戻る。ベートーベンの曲ってそういうふうにできています。僕は数学科なんだけど、ずっとクラシックを聞きながら数学を勉強してました。

—— 数学は先生にとってどういうものですか?

五島:永遠不滅の真理。物は移り変わるけど、背景にあるのは数式です。数学は人間の創造力が作り上げたんだけど、嘘がないんですよ。だから好きになった。

—— 先生のバックグラウンドには数学と物理学、また宗教やいわゆるスピリチュアルがおありと思うのですが、そのあたりを伺えますか?

五島:スピリチュアルねぇ、何て言うんでしょうか。宇宙への畏敬の心ですよ。特定の神仏は拝みません。スピリチュアルって下手をすると真実を自分のところへ引きずり下ろすんですよ。奇跡を起こせ、お金持って来い、とか。でも、僕のスピリチュアルは違う。自分が宇宙まで上がって行く。上がって行って必要なものだったらいただく、ということかな。

—— 宇宙の方に上がって行く、というのはどういうことでしょうか?

五島:結局理解力を上げること。例えば職場で上司とうまくいかなかった時、上司の心を変えて欲しいって祈るとすれば、それは神を引きずり下ろしています。そんなことにまで神様を使うわけですから。でも神になぜ上司がそんなことを言ったかわかるようにしてくださいって祈れば、神の方に上がって行くわけですよ。

—— そういうところにもお父様の影響がありますか?

五島:父親は偉かったですよ。相手を変えるんじゃなく、あまり人を責める親じゃなかった。でも子どもの時はまだ理解ができなかった。こっちが悩んでいても、理解力を上げろと言う。冷たい親だなと思っていたんだけど、二十歳を過ぎて偉大さがわかってきたという感じです。

—— 冷たさから偉大さに変わったところにはどんなプロセスがありましたか?

五島:父親にしても最初から父親であったわけでなく、苦悩の果てにたどり着いた境地でしょう。父親がいくら偉大であっても最初から偉大であったわけではない。僕にしてもやんちゃな時代から、プロセスを経て理解した時初めて本当の意味で畏敬の念が生じたんです。お釈迦様にしてもキリストにしても最初から悟ってたと思うと面白くもなんともない。最初は欲望まみれで、やんちゃで、それがあそこまで行ったと生い立ちから理解して、よくぞあそこまで行ったなと思うと、それは感動しかない。感動するとは、ふもとから見上げたわけですよね。

—— お父様も先生も共に変容のプロセスを続けられての境地であり感動ですね。これは伺っていいかどうかという話ですけれども、先生の半生は広島ですから、原子爆弾ももちろん関係してきますね?

五島:もちろんありますよ。ただ僕は山口県の岩国の生まれです。原爆体験を聞かされたのは小学6年の時かな。体験された人は、年老いても目をつぶると真っ赤な炎が見えるんですね。トラウマは一生残るんです。凄いんです。最初それを聞いた時は米軍憎しと思ったんだけど、原子爆弾が落ちなければ日本人は最後の一人まで戦っていたと、そういう声明が出ていたから負けるべくして負けたんじゃないかと。アメリカの陰謀と言う前に、どこが足りなかったのか、日本人としてね、そこを振り返らないと。戦後の知識人は、戦時中教わったことは全部間違っていたと言って、西欧社会から知識を輸入したわけですよね。僕は、全部間違っていたとは思わない。どこがどういう風に歪んでいったのかが問題です。

—— 個人史だけでなくそういったことも含めてお父様の人生を…

五島:振り返った。大学の図書館に通って、大東亜共栄圏とか、張作霖事件とか研究しましたよ、どこがどうだったのかと。いい思想もあったわけですよ。捨ててはいけないものもあったんです。

—— 歴史的背景の理解や影響も含めてお父様を深く理解し本当の意味での畏敬の念をお持ちになられた。先生のお考えになる共育とは、を伺えますか?

五島:父親はね、頭ごなしにものを言う人ではないんで、材料を提供してこちらが聞くと答えてくれる。そういうのを僕は共に育つという共育だろうと思っています。初めから答えを与えちゃいけないんですよ。一人ひとりの人生はスタートが違うから当然ゴールが違っていいわけでそれぞれが答えを創っていく、創造するということです。答えを頭ごなしに与えるというのは非常に失礼だというわけです。

—— 答えを与えない、創造するとは例えばどのようなことでしょうか?

五島:例えばその、小学校の時に担任の先生とディスカッションしたんだけど、お風呂場に行くとガラスが曇って水滴が付く。つまり飽和状態になって、お風呂場の蒸気が急に冷えてガラスに付着して水滴になると、理科的にはそうですよ。しかし、「ガラスが泣いている」という解釈も成り立つわけです。そういう答えがあってもいい。そういう意味で答えは一つじゃない。

—— いろいろな視点・次元で見ることができて答えは一つではない。多様な答えが創造されるということですね。

五島:そうそう。

—— そこには自由な創造性と共に個々の人生への深い敬意や畏敬の念を感じます。

(インタビュアー・平井みどり)

2019年5月13日(更新日:2019年12月21日)

日本民族の世界に対する役割

今回も、五島秀一さんにお願いしています。

連続3回の2回目は、純粋哲学研究会で伝えていきたい哲学や日本文化の良さについてお話しいただいています。

—— 五島先生は21世紀共育ラボで、純粋哲学講座というタイトルで30回以上講義をなさっていらっしゃいますけれど、そのことについて伺いたいと思います。

五島: これはね、要するに日本の良さっていうのがどんどん廃れていってるのはなぜか、という問いからなんですよ。着物文化しかり、刀鍛冶にしても、漆塗りにしても金箔士にしても何にしてもね、それは語らないからなんです。弟子を採っても長続きしない。沈黙が多すぎるんですよ。ここはどうやるんですか?って聞かれても、技術は体得しろっていう話になっていてどんどん廃れる。で、今や外国人が伝統工芸を継いでる。彼らはロジックで入ります。なぜこのようなやり方をするのですか?と。それに対してロジカルに答えないと彼らは理解できないでしょ?ロジカルに答えられたものだけが外国人でも日本人でも後継者を得て生き延びているわけです。だから、語ることですよ!

生きる営みを語ることを僕は哲学と呼んでいます。だって哲学の哲って口を折るって書くでしょう。口を折るって、発音するという意味です。発音する時、口が折られていきます。語らなきゃいけないんですよ。生きることを語る。言語化する。語られないものは世界に伝わらない。残らない。生き方とか生きざまを語らなければ、残っていかないし、皆で共にディスカッションすることができなくなる。哲学と言い始めたのは、もともとは日本の息吹というか、日本の源流っていうか、何か次代に伝えるためにはきちんと語るという必要からです。

—— 先生はその中でどんなことを一番語っていきたいですか?

五島: 僕の意見はどうでもいいんですよ。僕のオリジナルを残そうなんて、はなから思っていない。日本の良さを残す。ひいてはそれが世界に貢献する。いつの時代も真理を求める人はたくさんいらっしゃったと思います。科学的な思考を基に、哲学を進めていけば、もっと有意義なディスカッションが生まれると思っています。

—— 日本の良さとは例えばどのようなことをお考えですか?

五島: 日本民族に根差した世界に対する役割といったものに関心があります。例えば英語では I を使いますが、日本民族が語る時は I ではなく We になると思うんですよ。We want to do. とかね。そういう集合意識のようなものが日本人にはあるでしょ?そこから集団主義というものが生まれて、集団のためにある意味犠牲にする面もありますけれど、西洋人が語れば I になることも我々は最初から We だろうと思う。

—— I(私は)から語る文化と We(私たちは)から語る文化の違いがある中で、その言葉の使い方に反映される日本の良さを語る際に注意することと言いますと、何でしょうか?

五島: We と言うからには最初から集団ですから、責任と権限という点で曖昧になりますよね。だから、We であるがゆえにブレイクダウンして、じゃあその中であなたはこういう役割っていう、We の次に I が来ないと説得力がないと思う。

—— We の次に I ですか?

五島: We と I が別物と言っているんじゃなくて、簡単に言うと I というのがユング流に言うと表面意識で、We というのが潜在意識あるいは集合無意識なるものかな。これを日本人は別々に捉えずに理解できるだろうから I が喋れて We も喋れる。そんな風に思ってます。

日本人は We の中に元々閉じこもっていたのが I の練習をさせられ、今やどんどんどんどん I の表現になっていってます。でも I と We の中間に Identity があって、I – Identity – Weですね、つまり、私はこう思うって言った時に、なぜそう思うか、そこに一種の郷愁というか懐かしさ、日本人のルーツって言うか、日本人らしさ、英語で言う Identity 、依って立つところがあって更にその奥に広大な We があるんです。

Identity と言うと、ちょっとまだ偏狭ですね。例えば沖縄にとっての Identity、島国で海洋国家で昔は琉球と呼ばれ本土(ヤマトンチュ)とは全く違う。何ていうか、生まれつき神と共にあり、国家よりも神の方が優先される。ちょっとこの Identity だけだと地方止まりです。

I は I で、政治家が立候補した時に「わたくしはこの郷土を愛しています。なぜならわたくしが生まれ育ったところで、わたくしのものの考え方に影響を与えています。」て言うと、その政治家の Identity ですよ。それが例えば北海道にも全国にも言えるかって言うと、ちょっと無理があるでしょ?でもそういう Identity に根差す I を We って呼んでいるわけですよ。

—— 「私」(I)って言った時に周りの環境とか社会(We)もすでに包含されて I を作っているという意味で Identity と言うわけですね。

五島: そうそうそうそう。で、Identity を体現化したものをトポスって言うんだけど、心の拠り所ですね。震災によって浮かび上がってきたのは、トポスを失うと人は生きる意欲をなくすということです。

—— 心の拠り所。哲学は生きる営みを語ること、と言われましたけれど、生きる上での…

五島: 土台ですよ。生きる土台。純粋哲学講座では僕だけが突出して講師をやってますけど、ほんとは全員でやってもらいたいわけ。皆が自分を自己開示していくといいんです。よく中国台湾の人から「日本人はいつまでインサイドをやりますか?」って言われるんです。インサイド、取り入れる歴史が長いんだと思います。神武天皇が即位されて以来何をやったかというと、中国から輸入し、ヨーロッパから輸入し、アメリカから輸入してきた。最近、日本人らしさというのを世界にアウトサイドしていますけど、ようやく始まったばかりで表現が苦手なんです。しかし私は苦手なんだって自分の中にこもってしまうと、天岩戸隠れと一緒ですね、これは(笑)。

アウトサイドに行く時に必ず通るのが I 、Identity 、Identity を体現したトポス、それから We。インサイドだけじゃもう駄目なんですよ。まして移民国家になるとすればですよ、法律がどうであれ、賛成とか反対とかいう以前に、物理的に労働力人口が不足してますから避けて通れないと思う。そうした時に、日本の文化やしきたりを伝えてあげなければ、ただ迷惑をこうむるとか、あの人たちとは付き合うなとか、それが日本民族の特殊性だとか言っても、物理的に成り立たないと思うんです。表現していかないと。実際に田舎の方に行くと人手不足です。いくら求人募集貼り出して時給を上げても人が来ない。だから外国人を雇って日本文化とかマナー、挨拶の仕方とか年間行事はこうなってますとか、目上の人に対してはこんな風にしてなど教えてあげることが必要で、それこそアウトサイドになると思うんです。

—— この観点では、共育をどのようにお考えですか?

五島: 共育の対象は文化だろうと思う。文明と文化の定義はあいまいなんですけどね。文明というのはどちらかと言うと目に見えるものではっきり言って弱い。文化は輸出すべきというか、そうできると思う。

—— 文化はどちらかと言うと目に見えない…

五島:目に見えない生活様式だったり、バックグラウンドだったりする。結局日本語の多様性というのは、文明より文化を表現するのにふさわしいんですよ。「あでやかな」とか「華麗な」とか言われても、ピンと来ないと思いますよ、外国の人は。文明を表現するんだったら複雑な日本語はいらない。科学技術に対しては英語の方が便利ですよ、簡潔だから。でも、どんなに複雑で奥深いことでもロジックを駆使して、日本文化を輸出すべきです。

—— 科学的な思考を基に言葉を通して見える形でも日本の良さ、日本文化を伝える土台を作り伝えていくのですね。

(インタビュアー・平井みどり)

2019年5月27日(更新日:2019年12月21日)

新しい大和魂の目覚め

今回も五島秀一さんにお願いしています。

連続3回の最終回はこの度出版されたご自身の御本について語っていただきました。

—— 今年3月11日にヒカルランドさんから『五次元宇宙の物理学―大統一場理論』という先生の御本が出版されました。おめでとうございます。

五島:ありがとうございます。

—— 簡単に少し内容をお聞かせいただけますでしょうか。

五島:宇宙っていうのは、物理学者にとっては本当に宇宙(スペース)なんですけれども、個人にとっては家庭であり職場だろうと思うんです。だから、宇宙が丸いか四角いかというよりもそれをどう捉えるか。一言で言うと、宇宙のいかなる存在も、それ単独では存在せず、必ずRelationshipというのがあるわけです。その関係をどう捉えるかというアプローチの仕方が参考になると思う。

—— 物理学と日常生活の絡みを理解するには難関と感じながらもとても興味深いのですが、アプローチの仕方の具体的方法論は例えばどのようなものですか?

五島:物理的に言うと、そのものを記述する時に質点という質量のポイント、それがどこにあってどっちに行こうとしているか、これを人間に例えて言うと、あなたは今どこにいてどこへ行こうとしているか、というベクトルですね。

方向性がとても大事だ、という考え方なんですよ。どこに行ったかではなくて、どのぐらいの勢いをもって今ここからどっちに行こうとしているか、ということです。子育てにも言えると思うんだけど、今日はテストがありましたと。何点だった?っていう結果じゃなくて、どんな気持ちで解こうとしたか、どんな気持ちで受けた?かと。

—— どんな気持ち?

五島:スタートからどっちの方向に行こうとしたか、志ですよね。

—— 勢いをもった志が大事なのだと。

五島:そうそう。角度ですよね。ディレクション。

—— こういったことが、大統一場理論に…

五島:生きてくる。

—— 御本のタイトルに『五次元宇宙の物理学』とありますが、五次元宇宙とはどういったことでしょうか?

五島:アインシュタインが発見したのは四次元まででした。五次元っていうのは結局、その上があるということ。その上に行って初めて統一できるものがあるという意味で五次元と付けたんです。

—— 五次元になると新たに何がプラスされるのですか?

五島:僕の解釈で言うとエネルギー軸だと思うんです。スペースという三次元は縦横奥行き。ピラミッドで言ってみましょう。底から見ると四角形で、横から写真を写すと二次元になって三角形に写りますが元は一つのピラミッド(四角錐)ですよね。元にたどり着こうとすると、下から見た平面でも、横から見た面でも駄目なんですよ。二次元だと一つにできない、三次元にしないと。同じように物事を統一しようとすると次元を増やすしかなく、時間軸というのが加わって四次元となります。

—— そしてもう一つ先がエネルギー軸。

五島:そうそう。最低五次元まで行かないと統一できない。

—— 五次元まで行った大統一場理論というのは簡単に言うとどういうことでしょうか?

五島:それはとても難しいことですけれど(笑)。力というのをニュートンが定義した時から世の中には何種類力というものがあるか、その力を一つにまとめようと漠然と皆思っていたわけです。一つの力が分かれている。元々一つだったものに、一つひとつまとめていって到達しようとしているわけです。

—— 種類の違うそれぞれの力を一つにまとめようとするのと、元々は一つだった力がそれぞれ違う種類の力に分かれていると考えるのでは、方向性に違いがありますね。

五島:宗教に近いですね、物理学の面白いところなんです。バラバラに見えるけれど元は一つに違いない、こことこことは共通点だと認識すると人間の知力は深まるんですよ。共通点を探そうとする人間の知的探求心ってあるわけです。例えば氷も水も同じH2Oだと。氷と水は一見違いますけれど氷点下になると氷になって、常温になると水になる。元は一つだと説明ができるわけです。

—— その共通の場が大統一場理論になるということですか?

五島:そうそう。生物学というか、系統学もそうですよね、人間も元々はミトコンドリアイヴという共通の先祖から発生した。ところがいろいろなアクシデントから生物多様性が生まれてくるわけです。だから、神に近づきたいという認識だろうと思うんです。神様が言ったんだから最初はなんか一個のものだったでしょう。それがどうして分かれていったかと。

—— この本の中に神に近づきたいという思いに対しての何か答えのようなものが書かれているのですか?

五島:そうそうそうそう。どのようにアプローチし、到達できるかと。

—— そのあたりを物理学をベースとして書いていらっしゃるんですね。

五島:そうです。

—— ところでエネルギー軸というのは、例えば日常的な感覚で言うとどのような軸になりますか?

五島:うーん、そうね。例えばここにコップが二つあったとしますね。片方に水を入れてもう片方に熱湯を入れると、お湯を入れた方がエネルギーが高いですよ。熱エネルギーという。コップはそれぞれ縦横高さでメモリで指定でき何cmという座標で設定できますよね。そして今、何時何分と四次元のメモリができるわけ。水の入ったコップと熱湯の入ったコップを同じところに置いたとします。縦横高さ時間は同じ、でも温度が違うでしょ。温度が違うからこれを記述するためには空間と時間だけでは足りないことがわかりますよね?エネルギー軸を持ってくると、違うものだって表現できます。

—— そこから統一場に行くっていうのがまだ‥

五島:それは日常生活と遊離していると思うからです。おんなじ新入社員で、おんなじ経歴、四次元、同じ会社の同じフロアにいる。座標が一緒。でもやる気が違うかもしれない。やる気という熱が。

—— あー。

五島:エネルギーが違いますよね。その違いを記述するには次元を上げるしかない。そしたらエネルギー軸で、熱軸で考えると、あなたはここだけど、花子さんはここしかない。

—— なるほど!

五島:水とお湯は別物じゃなくて、距離が違うだけというのを統一と言うわけです。統一というのは移行することができる。同じ物体が移動しただけですから。

—— エネルギー軸、熱量が違うだけ?

五島:熱量が違うだけ。統一というのは、努力すれば到達できるものばかりだということ。連続体って言うのですよ。努力すれば到達する。

—— 元々一つのものの連続体で全くの別物ではないのですね。

五島:別物じゃなくて熱すれば同じものになると分かれば熱すればいいだけの話ですからね。それがないと熱しようと凍らそうと別物、ということになっちゃう。

—— わかりました。丁寧にご説明くださりありがとうございました。努力すれば到達する。一筋の希望のようなものを感じます。

このタイミングで出版されることになったのはどんな想いからでしょうか?

五島:科学だけは日本人が不得手だったんですよね。それをこう日本人の手で新しい科学を創るという想いがあった。

—— 先生がこの中で根本的に伝えていきたいことは何ですか?

五島:新しい大和魂の目覚め、大和魂の復活ですよ。科学的な考え方で語りたいと思います。

—— 先生の今後の御活動は?

五島:幅広く本を出していきます。

—— 好きな言葉は?

五島:そうねえ、うーん。自立ですかね。

—— どんな状態だと自立していると言えるでしょうか。

五島:批判したり愚痴ったりしない。創造的に生きる。

—— 最後に、先生は読む側に何を受け取ってもらいたいでしょうか?

五島:一人ひとりが自分にわかるレベルで宇宙とか社会とか少し大きいものに関心を持ってもらいたいな。子育てに直結していきますんで。目先のことや偏差値とか点数いくらとか、小さいことばっかりでは偉人が生まれにくい環境になるんですよ。

—— 本当にそうですね。親子関係から社会での関係性、個人の自分育てにおいても貴重なお話を、連続3回に渡って宇宙や社会とか大きな視点やあり方から多角的に語ってくださりありがとうございました。

(インタビュアー・平井みどり)