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interview橋本雅子さんインタビュー

橋本雅子(はしもとまさこ)

ちぎり絵作家
あろは〜呼吸法代表

愛媛県松山市生まれ。
1985年「おきゃんぴー」としてお笑い芸人の道へ。ひょうきん族、ひょうきん予備校、ヤンヤン歌うスタジオ、プッツン5など、バラエティー番組を中心に芸能活動を行う。1993年より小池聰行氏(オリコン株式会社創業者)に呼吸法を師事。インストラクターとして呼吸法の指導を行う。2004年より独自のメソッドを取り入れた「あろは〜呼吸法」を伝え、人生を好転させる人を増やし続けている。2000年よりちぎり絵作家。個展の開催のほか、店舗、サロン、介護施設などに作品を展示。ちぎり絵ワークショップやイベントなどでもちぎり絵の楽しさを伝えている。
2016年全国和紙画展和紙部門入選。

著書「はじめた人から毎日が幸せになるあろは〜呼吸法」(PHP研究所)


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2019年1月27日(更新日:2019年12月21日)

ちぎり絵との出会い

今回は、橋本雅子さんにお願いいたします。

インタビューはこれから隔週で3回に渡って連載されます。

1回目は、ちぎり絵との出会いからどのように活動を始めていかれたかなど語っていただきました。

—— ちぎり絵作家であり、あろは〜呼吸法代表でもいらっしゃる橋本雅子さんにまず、ちぎり絵とどんな出会いをしたのかから伺いたいと思います。

橋本:出会ったのは2000年なので、19年近く前になるのですが、友人にランチに行こうと誘われて行ったそのお店にちぎり絵が飾ってありました。よくある雰囲気の日本ぽいお花だったり金魚だったりちょっと和紙の毛羽立ったのを生かしたちぎり絵がずっと廊下からお部屋まであり、ちぎり絵いいな〜って思った時に、”はっ!”とひらめき、和紙でハワイの景色を創りたいと思ったのです。

—— 和紙と言えばふつう日本的なものを連想すると思うのですが、ハワイの景色をと思われたのはなぜですか?

私は全く美術系の学校に行った訳でもないし、そういった勉強をしてきた訳でもないのですけど、その頃ちょうどフラを習っていて、ホノルルマラソンに何回か出させてもらって、ハワイの自然とか土地から何かすごく豊かなものを頂いてたのです。精神的に。それでいつかハワイに私がお返しできることはないかとずっと思っていて、なかなか上手にならないフラダンスではお返しできない、何かないかなと、そんな矢先にちぎり絵を見て、自然の木からできている和紙を使ってハワイの景色を創りたいというのがピコンときたのです。

—— それからすぐにやってみられたのですね。

橋本:帰ってすぐやろうと思ったのですが、全く分からないので、そのお店に聞きました。連絡先を教えていただいたのでアポイントを取って、レストランに連れて行ってくれたお友達と一緒に、ちぎり絵の個人レッスンを受けたのです。一回では上手くできないというのはあると思いますが、そのやり方は私が表現したい方法ではないと思いました。いくつか作品を創ったのですが、何かもっと自分の頭に描いたものができる手法はないか、そこから自分でやってみようと思い、自分で創り始めたのです。

—— 最初に創られたのはどんな作品でしたか?

橋本:カメハメハ大王です。敬意を表したいと思ってカメハメハ大王にしました。今でいうと全然上手ではないのですけど、情熱があるので、その作品は大事です。それから、ハワイに咲いているプルメリアやハイビスカスなど植物を創ったり、フラダンサーや自分の好きな場所や好きな葉っぱなど、どんどんどんどん創っているうちに自己流がどんどん出来上がってきて、毎日のように楽しくてしょうがなくてたくさんの作品があっという間に増えていきました。

その時に和紙についても、教えて頂いたものと自分はちょっと違っていたので、どんな色合いや手触りの和紙が良いかと、和紙屋さんに行くようになりました。

—— 和紙にそれまで縁があったのですか?

橋本:全くありません。和紙屋さんに行ったら色々あるのです。日本にしかないような派手ではないけれども植物の色そのままが出ているような紙や、黄色なら黄色で山吹色から何から、こんなに色ってたくさんあるんだと思いました。和紙も地方によって全然違って、そのことにも魅了され私がやりたいちぎり絵のために、産地がどこというこだわりは持たずに色々な和紙を集めてきて、色と手触りをとにかく試してみました。

—— その結果はどうでしたか?

橋本:はい。試してみると、これはちぎり絵に合っている、これは合わないというのが出てきました。それでたくさん作品を創ったところで、自分でそれをコピーしてお友達用にカレンダーを作りました。

—— 手作りカレンダー、素敵なアイデアですね。

橋本:ありがとうございます。そのカレンダーを見たある会報誌を編集している方が「これは何ですか?」と聞くので「コピーしていて本物ではないのですが、これはちぎり絵なんですよ」と言ったら、「これで是非表紙を作成してくれませんか」ということでした。ちぎり絵をやり始めて間もなく1年という時でしたが、毎月の表紙をまずは一年契約ですることになりました。

—— その方は雅子さんの作品から何かを感じ取られたのでしょうね。その雑誌の表紙用に創られたのはどんな作品だったのですか?

橋本:日本の景色や、「1月はお正月に関する作品を創ってください」とか、「4月は桜に」など編集者と相談しながらやりました。

—— 12回雅子さんの作品が表紙を飾ったのですね。

橋本:1年で終わると思ったら、契約が延びて結局5年間することになりました。それがあったから、私はずっと続けてきたと思います。表紙一つを創るのに1ヶ月近くかかったりしました。すると、試作のおかげで作品がどんどん貯まっていき、それを見た方が「うちのサロンに飾りたい」とか「うちのお店に飾りたい」となって、やめてはいけませんよという感じです。こちらから売り込みに行ったことは一切なくて、自然に仕事になっていたのです。

—— ちぎり絵をやめたくなったことはありますか?

橋本:やめたくなったことは一切ないのですが、私は呼吸法も教えているので、そちらが忙しくなった時、地方に行ったり出版した後に講演があったりで、去年などがそうでしたが、ちぎり絵が必然的にあまり創れない時がありました。そうすると創りたい気持ちが膨らみます。それはそれですごく良くて、次に創った時に作品のエネルギーがポンと変わっているのです。

—— 創れない期間にも意味があり、ご自分の中で何か変化が起きているという訳ですね。

橋本:はい。だからその時々の自分のエネルギー、パッション的なものが作品に乗っているなと自分で見ては思っているのです。きっかけは、お店でたまたまちぎり絵を見かけたというだけなんですけど、そんな感じで続いてきました。

—— その5年間の雑誌の表紙のお仕事が終えられた後は、どのようにちぎり絵とお付き合いされたのですか?

橋本:個展を開きました。そのすぐ後には介護施設の内装のデザインをしている方からご連絡がありました。その方はたまたま私のちぎり絵のポストカードを誰かから頂いたとのことでした。その介護施設というのは、桜をテーマにしている施設や、南の島をテーマにした施設、ヨーロッパをイメージした施設など、色々なパターンの施設を造っているので、そこに飾るちぎり絵をという依頼がありました。それでまた7〜8箇所用に創りました。

—— そのグループの施設に行くと雅子さんのちぎり絵が飾られているのですね。

橋本:はい、あります。1箇所に1点か2点飾らせてもらっています。ただ作品にちぎり絵作家橋本雅子とは入っていないので、ご高齢者など施設にいる方は、ただ飾ってあるから見ているのだと思います。

—— 雅子さんの想いが乗っているちぎり絵があれば、きっとそれを見てらっしゃる方々も色々なものを受け取っていると思います。

橋本:それだと嬉しいですね。

—— 個展は最初はどのように開かれたのですか?

橋本:表紙用にちぎり絵をしていた健康雑誌を作っている団体の方から、会報誌のために創作した5年分の中のいくつかの作品で個展をしませんかと言われ最初の個展を開きました。自ら個展を開くようになったのは2011年ごろです。

—— 個展の開催は年に何回とか定期的になさっているのですか?

橋本:年に1回と思っていたのですが、年に2回する時もあれば1回もできない時もあって、呼吸法が忙しくて、しばらくできなくなり、2018年は4年振りに開きました。

—— 9月に都内で個展を開催されましたね。素敵な作品の数々を私も拝見させていただきました。個展のテーマの通り、スーッと息が楽になるような癒しの空間がそこにあり、やわらかさの中にもパワーのこもった作品がたくさんで、楽しませていただきました。

(インタビュアー・長岡 純)

2019年2月5日(更新日:2019年12月21日)

ちぎり絵とは?

今回も橋本雅子さんにお願いしています。

連続3回の2回目は、ご自身にとってのちぎり絵とはなどについて語ってくださいました。

—— ちぎり絵を始められた最初の頃の作品は、ハワイへの恩返しを中心にとのことでしたが、今は何を中心に作品を創られていますか?

橋本:今は何をというのではなく、自分の心が動いたものを創るようにしています。毎回自分の中でテーマを決めて個展は開催していますが、その個展のテーマに合うようなものを創るという感じです。

—— まず個展のテーマが先にあって、インスピレーションを感じたものなどを創っていくのですね。

橋本:はい。2018年9月の個展のテーマは”Just Breath” という「ただ息をしているだけ」という意味なのですけど、「ただここにいる」とか。毎日を大切に過ごすという意味も含めて、朝から夜にかけての空の色のグラデーションなどを作品に表現しました。

—— 雅子さんはあろは呼吸法の指導をされていますが、まさにちぎり絵のテーマもそこと通じている感じがしますね。

橋本:はい。呼吸と通じたい、作品の前に来た方が呼吸しやすくなるような作品を作りたいという想いがありました。色のグラデーション、和紙の美しさも感じて欲しいなと、グラデーション的な作品が多かったです。いつもならお花ならお花をテーマにしていましたが、今回は感覚的なことを初めての試みでしてみました。

—— 見る側も感覚を研ぎ澄まし自分の内に深く入ってくるようなテーマですね。

橋本:はい。きちんとしたモチーフでない作品は初めての試みで、本当に自分の内側を見られるような作品でしたから、恐れもありましたが、結構今までよりも色々なことを感じたとおっしゃってくださる方が多くて、やっぱり作品から自分の想いとかそういうものがすごく伝わるのだなというのを今回感じました。

—— ちょうどこの時代に自分の中に深く入ろうとするようなものを選ばれた理由は何かあったのですか?

橋本:時代とか考えなくて、たまたま自分がそうしたいと思いました。

—— 雅子さんの中でも同時に進行していることがあったのかもしれないですね。

橋本:はい。自分の中ですごい切り替わりのような出来事がありました。良い意味で自分自身が生まれ変わりたいという心境の時にちょうど目の前に目的の個展があったので、作品を創る前に自分の気持ちを整えるにはどうすれば良いかと思って、作品を創る時って無心なんですけど、とにかくより無心になれる風に持っていったのです。

—— 無心がキーワードでしょうか。

橋本:私の場合ざわついた心では作品が創れないのです。他の方もそうかもしれないけど、どんなに技術があっても、ざわざわしたままの気持ちで創るとそれは絶対に波長として人に伝わってしまうのではないかと思います。子どもの作品って何で感動するのだろう、子どもの創るものにはかなわないといつも思いますが、子どもって無邪気に楽しくて無心なんですね。それがエネルギーとしてパーンと出ているからもうかなわない。だから私の中で「子どもの作品は先生」と思っています。

—— 子どもは簡単に無心になれる、けれど大人の場合はどうなのでしょう?

大人って色々な思考があるからそういう状態になかなか今はなれなくて、どうやって上手に見せようとかこう見られたいとか欲が出てくるのですけど、ちぎり絵を創り始めた最初の頃からずっと通して私の中で消したくないのが「無心」です。最初多分子どもの心で創ったと思うのですね。「わっ、ハワイの景色創りたい!」と。その想いは最初の作品を見ると出ているのです。ずっと根底にあるそれが流れなくなったらやめる時と思っています。

—— ということは、雅子さんが最初にちぎり絵に出会って、ピコンと灯りが点いた、そしてハワイの作品創りに入っていかれたその想いはプロになっても変わっていないということですか。

橋本:変わっていないですね。創り始めたら初心の気持ちだし、毎回手を合わせてから始めます。

—— 作品創りの最初に手を合わせることの意味はどのようなものなのでしょうか?

橋本:宇宙の元の、命の大元から繋がってご先祖様がいて今ここにいるのですけど、物もそうだし、地球も惑星もそうだし、すべて大元があって出来上がっているということを思うことがあって、呼吸をしているから余計そう感じるんですけど、その大元に手を合わせて感謝してから創るとなんか心地良いのです。和紙にも感謝が伝わるし、出来上がった作品も手を合わせて創っているものと、ただ表現しようと創っているものでは違うのです。祈りに近い気持ちを最初に持ってから創った作品の方が発しているものが心地良いのです。だからそうしています。

—— 全てを創っている命の大元に感謝の気持ちを込めて手を合わせることが大切と。雅子さんはその違いを感じてらっしゃるのですね。他の方たちはどうでしょうか?

橋本:ワークショップで、「これから手を合わせてちぎり絵を創りましょう」と、手を合わせてから制作しますと、上手く見せようとか欲とかが消えている作品になるので、手を合わせてものを創るというのは、ちぎり絵に限らず大事なのではないかと思います。

—— それは祈りみたいなものなのでしょうか。

橋本:そうですね。上手な技術を教えてくださる先生はたくさんいると思うのです。私は技術的なことはワークショップでは少ししかお伝えしないのですが、心地よい波長の作品が生まれるにはどうすれば良いかということを大切に伝えていきたいです。

—— なるほど、テクニックではなく心の面、ちぎり絵に向かう心のありようを雅子さんは伝えていきたいと考えてらっしゃるのですね。

橋本:そこを大切に伝えていきたいと思っています。

—— 雅子さんが作品に魂が宿ったと感じるのはどんな瞬間ですか?

橋本:ある時に急に「今、命が宿った」っていうのがわかるんです。顔のある作品の際には目を入れた時によく感じます。桜だったら1本枝を継ぎ足した時に「あー、今桜に命が宿った」っていうような感覚です。

—— 今宿ったって思う感覚があるとおっしゃいましたけど、何か誰が見てもわかるような変化が起きるとかじゃなくて、雅子さんの中で「あ、今入った」みたいな感覚があるのでしょうか?

橋本:私の中というか、作品がいきなり生き始めるわけです。

—— 作品が生き始める時、ですか?

橋本:作品が動き出しそうな感じに見えるんです。人で言うと、心臓がドクドクドクと脈動し始めたような感覚を作品に感じるんです。やっとこの作品に魂が宿ったって、その時に思うんです。やっと心臓が動き始めたみたいな、それは感覚でしかないのですけど。

—— そこを通り過ぎるとどうなるのですか?

橋本:どこが終わりなんだろうと思って創り続けて、終わりのタイミングというものが来るんです。

—— 終わりの感覚がやって来る時、それはどんな感じですか?

橋本:それも作品が「これで、完成!」って教えてくれます。でも、そこからさらに創り続けたり、もっとやらなくちゃとか思って自我を出してやったとするでしょ。それを数日後に見るとあまりいい出来ではないから、やはり完成のサインをキャッチしたタイミングで終えた方がいいですね。

—— なるほどキャッチした時終わると、一番いい所で終われるのですね。
雅子さんにとってのちぎり絵とは、もし一言で言うとしたらどんなものでしょうか?

橋本:ちぎり絵は私の人生ですね。今世出会わせてもらった大きなものの核となるひとつのものなのかなと思っています。多分、自分のありようが何か間違ったらできなくなると思っていますけど、一生創っていきたいと思っているものです。

—— 確かもう間もなく次の個展が予定されていたと思うのですが、これからのご予定は?

橋本:はい!2019年2月15日から17日まで3日間、初めて大阪で個展を開催します。

—— 個展と並んでちぎり絵ワークショップもそこでされるのですか?

橋本:ワークショップはしないのですが、INORI桜(いのりさくら)プロジェクトチームの皆さんで創った作品も個展会場でお披露目をしようと思っています。

—— それではそのINORI桜プロジェクトについて次回は伺っていきたいと思います。

(インタビュアー・長岡 純)

「大和魂」 2016年
第29回全国和紙画展入選作品(2枚目)

2019年2月13日(更新日:2019年12月21日)

INORI桜プロジェクトへの思い

今回も橋本雅子さんにお願いしています。

連続3回の最終回は、INORI桜(いのりさくら)プロジェクトについての想いなどを語っていただきました。

—— これから雅子さんが中心となって、一般社団法人ちいさなありがとう基金による「INORI桜プロジェクト」が開催されていくわけですが、これについてお話しいただけますか?

橋本:そのINORI桜プロジェクトというのは、一つの桜の作品を皆さんで力を合わせて創りましょうというものです。

—— 従来の雅子さんのご活動は、お一人で一つの作品を仕上げるスタイルですが、今度は桜というテーマでグループで一つ創りましょうということですね。この辺り何か違いがあると思うのですが。

橋本:そうですね。一つの作品は先ほどの祈りという意味で言うと、一人の祈りの力ですけど、グループで創るならグループの祈りの力が作品に込められる、より大きな祈りのパワーがそこに入ると私は思っています。

—— それは例えば、一人の祈りが1だとしたら、5人ですると掛ける5になるということでしょうか。

橋本:10人だったら掛ける10ですよね。一人でも大きな祈りの力があると思われるのですが、簡単に考えても5倍、そんな大きなエネルギーが一つの作品に込められるということです。それを日本の各地とか、もっと大きく世界の各地に飾っておくと、そこから私の言った宇宙の元というところにその作品を通じてのエネルギーがすっと行くのではないかと思っているのです。

—— 作品を通してエネルギーが。なるほど。

橋本:宇宙の元までエネルギーが行くということは、宇宙の元とその作品がパイプで繋がることだと思います。宇宙の元はいわゆる祈りの元だから、祈りがこもった作品が宇宙の元とパイプで繋がっていたら、祈りのエネルギーが地球に届くと私は思うのです。とにかくパイプでエネルギーが作品にどんどん下りてくるのではないかと。

ちょっと話は逸れますが、なぜ『モナリザ』とかモネの絵とかピカソとか有名な方の絵が時代が移り変わっても皆さんがそこから素晴らしいものを受け取るかと言ったら、そこにはものすごいエネルギーのパイプがあるからだと思うのです。 

でも、有名なアーチストでなくても皆さんの祈りのエネルギーが込められた作品というのはちゃんとパイプと繋がれてもしかしたら災害が起こったかもしれない場所にそれを飾っていたから免れたとか、それ位の力があるのではないかと私は思っています。

—— もしかしたら大難が中難になるような。

橋本:そうです。

東京オリンピックまでにいろいろな場所に桜の作品を据えて、INORI桜が咲いてよい祈りのエネルギーを発することで、まずは日本からそして地球もよいエネルギーで包まれるようにできたらなという想いが私の中にあります。

プロジェクトメンバーそれぞれにまた別の想いも乗っかっているので、さらにいいんじゃないかと思っています。

—— プロジェクトはこれから1年と数ヶ月間の予定でスタートする訳ですね。そして今おっしゃったように日本各地でINORI桜の花が咲いていく。桜のちぎり絵をどんどん創っていただくことで、その一つひとつの場所に宇宙とのパイプができ、祈りのエネルギーが常に広がっていくのですね。

橋本:そうだと思います。小さな作品もあれば、大きな作品もできるでしょうが、そこに込められたエネルギーというのは素晴らしくいいエネルギーだと思うので。

—— 場を共有してみんなで一つの作品を創ることに関してはどんな風にお考えですか?

橋本:これは一回ほんとに体験していただきたいのですけど、私は、みんなで創るとこんなに楽しくよりワクワクとしたものができるのだなと思いました。力を合わせるということの大切さを忘れず、みんなで相談しながら「ここはこんな色にした方がいいんじゃない?」とか「どっちから光が射しているの?」なんて言いながら創る楽しさを一回味わって欲しいと思います。昔々自分の子どもの頃は、大きな紙にみんなで絵を描いたことがあったなと、思い出したりとかして。

ちぎって貼るという作業は1歳に満たない子もできるのです。今までワークショップをしてきて、一番小さい子は生後8ヶ月の子でした。一番上は87歳のおばあちゃまだったのですけど、もっと上の方でもできると思います。

—— 年齢を問わずほぼ誰にでもできるということですね。

橋本:はい。世代問わず一緒に楽しめるものです。

—— ちぎり絵は五感を発達させると雅子さんはおっしゃっていますが、それは和紙という要素も大きいのでしょうか?

橋本:大きいと思います。普通の紙だとビリビリビリという感じで破れるのが、和紙だとちょっと繊維が出たり、何か柔らかい感触だったり、産地によっても違いますけど、色でもちぎるという作業でも五感にもいいし、香りはないけれど、香りがするような色をしているのですね。和紙に使う元の木は、楮(こうぞ)だったらこんな香りとか、他の木だったらこんな香りとかきっとあるんですよ。

—— なるほど五感が豊かになると思いますね。私も含め現代の社会で生きる人たちは五感を働かせる機会が減っていると感じますが、、、、。

橋本:今は紙の本も減って電子書籍になったりしてますが、やっぱり一枚一枚紙をめくることによって目とか手とかに訴えることはあると思うのです。

—— 五感を豊かにすることは、情緒の豊かさに繋がっていきますよね。

橋本:絶対繋がりますね。

—— 今という時代は日本人が時間をかけて育んできたものがちょっとずつ忘れ去られていっているようなところがありますけど、ちぎり絵では日本の伝統文化でもある和紙を使うという意味でも私たちが思い出したい何かがそこにあるという気がしますね。ちぎり絵は五感や情緒を育み、自分の内側に目を向けることに繋がっていくかと思うのですけど。

橋本:普段お仕事をされている方は大抵左脳を一生懸命使うじゃないですか、五感を使うと右脳が活性化するのですよね、ちぎり絵のワークショップをすると左脳と右脳のバランスが良くなったりとか、癒された表情になったりとか、目が綺麗になって肌もキラキラしてきますよ。

—— 先ほど無心とおっしゃっていましたけど、その無心の状態をみんなで一緒に創り上げていく。

橋本:そこでまた結束も生まれて。

—— 心と心が触れ合う場にもなっていくのでしょうね。

橋本:グループで作品を創ると、本当はこうしたかったのにとかいろいろな方の想いがある訳ですが、思うようにならない楽しさがあるのです。

—— 思うようにならない楽しさですか?それはどんなものでしょうか?

橋本:本当は自分だったらここにこういう色を持ってくるのにという場所に他の方が貼るじゃないですか。自分の中では違うなと思ったとしても、みんなで創っているからそれを容認するじゃないですか。それで、出来上がったものを見ると例えばここにその方が濃いピンクを貼ったおかげでものすごく陰影ができていたりとか、分からないものが後で分かったりという感動が生まれるのです。

—— なるほど、それは一人ではできなかったことですね。

橋本:はい、一人でやったのでは味わえないものが味わえます。それでもどうしてもおかしいではないかという時には、その上に貼ればよい。

—— 一度貼ったものの上に貼ることができるのですね。

橋本:譲り合いながらすればよいし、協調性が生まれます。

—— お互いに対する敬意を持つことでしょうか。調和するということですね。

橋本:はい。だから作品の中に思いやりもあれば、愛もあり、調和もある。謙虚な部分もあれば、きちんとここは根を張りましょうみたいなグラウンディングした気持ちもあって、全部がこの中に含まれているのです。愛、調和、感謝という宇宙意識がそもそも皆さんの中に生まれながらにあるので、よりエネルギーが強くなると思いました。

—— このINORI桜プロジェクトはどんなものを生み出していくとお考えでしょうか?

橋本:まだどんな風に広がっていくのか分からないし、どんなものを生み出していくかも分からないのですが、なんかワクワクしかないのです。

—— こうして向かい合っていると、雅子さんはキラキラとしているように見えます。そして、とてもワクワクしてらっしゃるのが、私にもひしひしと感じられてこちらもワクワクしてきます。
これからINORI桜プロジェクトの中で、雅子さんのそのキラキラがどんどん広がって、創る人たちのキラキラも広がって、日本中がキラキラしていくのではないかと期待します。

橋本:プロジェクトメンバーのキラキラ度はもっと凄いですから、ぜひメンバーの皆さんにも会っていただきたいですね。

—— はいそうですね。また別の機会にプロジェクトメンバーのご紹介もできたらと思っています。それでは今日はこの辺でインタビューを終わりたいと思います。

橋本:皆さまのご参加を心からお待ちしています。

—— はい。雅子さん、長時間に渡りありがとうございました。

(インタビュアー・長岡 純)