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myheart育っていたのは“わたし”の心

2024年10月31日 父親と母親になるってことは #育っていたのは“わたし”の心

“子どもを産んだら、お母さんになる。”

“子どもが生まれたら、お父さんになる。”

というのは、知識上でのことであって、ほんとうのところ、そんなわけない(苦笑)ですよね?

でも、当時の私はそうだと思っていたのです。

もちろん、十月十日の妊娠期間中、日々大きくなるお腹を見て、そして赤ちゃんの胎動を感じて、育まれる母性もありました。

自分の身体の中に、もう一つの生命を宿すというのは本当に神秘的なことです。

自分のお腹の中で赤ちゃんは育まれるわけですから、自分の食べているものや日々の行動が、もう一つの生命に影響を与えるわけです。

それを直接的に感じることができる妊娠期間中は、私を「母親」として育ててくれたと思います。

かたや、男親である父親はどうやって、父親になっていくのでしょうか?

そのことについて、私も父親である旦那さんも、あまり考えていなかったように思います。

知識として知っていることだけで、その中身は本当のところどうなのだろうか?ということまで考える習慣もなかったのだと思います。

だから問題が起こったら、それを解決することだけに意識が向かってしまいました。

私は、育児本に載っているように子育てをすれば、「いいお母さん」になれると思っていました。

同じように、夫が望むようにすれば、「いい奥さん」になれるとも思っていました。

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私にとって「いいお母さん」や「いい奥さん」のロールモデルは、自分の母でしたし、

育児本にドラマや小説、CM(これも大きい!)などに表れる「お母さん」「奥さん」でした。

当時私は専業主婦だったことから、仕事をしていない私が育児を全てやり、家事をやり、夫が気持ちよく働くために働くことが「正しい」と思っていました。

まだまだ男性が育休を取ることがニュースになるくらいの時代ですから、そう思っている専業主婦の方はたくさんいたと思います。

夫は自宅で仕事をしていました。

仕事をしている間、家に夫がいるとしても育児や家事を夫にお願いすることはありませんでした。むしろ、子どもが泣いたら仕事の邪魔になってしまうと思って、すぐに泣き止ませないと!と必死になっていました。

自分は養ってもらっているのだから、育児は私がやるのは当然。家で仕事をしていることもあって、家事も手を抜くことはできません。

夜、夜泣きがひどい時は、夫の邪魔にならないようにひとりリビングのソファーで寝ることもしばしば。

次第にストレスが溜まって、睡眠不足もあり、イライラが募ってしまう。

そしてそのたびに、実家の母に頼ることを繰り返したと思います。

実家に頼ることを否定するつもりではないのですが、

そのことによって私が「お母さんになる」、夫が「お父さんになる」という体験をすいぶんと奪ってしまったのではないか?と感じています。

問題を解決することばかりに夢中になってしまって、問題が起こった時に、どうしてそうなるのか?

自分を省みて、ときには自分の非力さや弱さを認めて、私も、夫も、一緒に育っていくという感覚が必要だったんだなぁと、今になってわかります。

ですが、この夫との関係が私の学びでしたし、その経験があったからこそ、今は人との関係において、自分を偽らずにいられることができるのだと思っています。

「一緒に育っていく」

正解を追い求めることが良いのではなく、問題解決をすることが最善の方法でもなく、

「一緒に育っていく」

それを教えてくれたのは、子どもたちでした。

次回へつづく